脳卒中には、喫煙、多量飲酒、運動不足などの生活習慣や肥満、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症などの疾患を含め、様々な危険因子が関係しています。自覚症状がなくても、これらの危険因子は遺伝的な要因や体質による場合もありますので脳ドックの検査をおすすめします。
脳卒中とは
脳卒中は、脳血管障害ともいいます。脳の血管が破れたり、詰まったりして、その部分の脳の働きが失われてしまう状態です。
脳卒中は大きく分けると脳梗塞、脳出血、くも膜下出血に分けられます。
脳梗塞は血管が詰まって、その先の脳細胞が壊れることで、昔は脳軟化症といいました。脳出血は脳の血管が破れ、脳の中で出血すること、くも膜下出血は動脈瘤が破れ脳の表面に出血するものです。
脳梗塞
脳梗塞は、脳の血管が細くなったり詰まったりして、その先に血液が行かなくなり、脳の細胞が死んでしまうものです。詰まった場所によって知覚障害や運動障害、意識障害などのいろいろな症状が出てきます。日本人の死亡原因は、脳卒中の約60%が脳梗塞です。
脳出血
脳の血管が、動脈硬化を起こしてもろくなっている上に高血圧が続くと、さらにもろくなり、ついには破れて脳の中で出血が起こります。
脳から出血した血液は固まって塊(これを血腫といいます)になります。頭のなかで血腫が大きくなると、頭の中の圧力が高まったり、血腫がまわりの正常な脳を押したりするので、脳の働きが悪くなります。出血した場所によって症状は違いますが、片麻痺、感覚障害を伴うことが多く、重症だと意識障害、さらには死亡につながることがあります。
くも膜下出血
脳は頭蓋骨に守られていますが、骨の下にはくも膜というクモの巣のように透明な薄い膜があり、その内側に脳があります。脳に血液を送る血管はくも膜の下を走っています。この血管に動脈瘤(こぶ)や動脈硬化があると、血圧が高くなったときに急に破れます。出血した血液は、くも膜と脳のすき間に拡がっていきますが、これがくも膜下出血です。何の前触れもなく突然猛烈な頭痛、吐き気、嘔吐が起こり、そのまま意識不明になることが多い疾患です。
医師メッセージ
宝塚病院では、患者さんを中心として脳卒中という病気を多方面から治療し支える組織的診療体制を目指します。脳梗塞では、発症後速やかに行う経静脈的血栓溶解療法や、カテーテルを用いた再開通療法を実施しています。この急性期再開通療法を導入後、劇的に症状が改善するケースが増えています。脳出血・くも膜下出血では、緊急手術が可能な体制であり、また血管内治療専門医が常勤しております。そのことによって治療法として、開頭手術によるクリッピング術と血管内治療によるコイル塞栓術などより適切な方法を選択することが可能です。
治療機器 脳外科用X線血管撮影装置の導入
平成30年9月から、最新の脳外科用X線血管撮影装置Alphenix(キャノンメディカルシステムズ社製)を導入致しました。手首や足の付根からカテーテルと呼ばれる細い管を血管内に挿入し、脳卒中治療を行います。開頭する外科手術より低侵襲な血管内治療(カテーテル治療)がこれからを担っています。
カテーテル治療においては、治療器具の精密な操作が治療予後に関わります。その精密な操作を実現するために、X線血管造影装置には高精細な画質と高い操作性が求められています。さらに治療はX線を照射しながら行うため、患者様の被ばく低減に関心が寄せられています。最新のこの機器は、これからのニーズに応え、画質の向上、ワークフローの最適化、被爆の低減を実現し、カテーテル治療をサポートします。
脳卒中セルフチェック
- からだの片側がしびれたり、手足に力が入らない
- 足がもつれて歩けない
- 話したいのに急に言葉がでなくなる
- ろれつがまわらない
- 人の言うことが一時的に理解できない
- ものが二重に見える
- 片眼が見えなくなったり、視界の半分が見えない
- 食べ物が一時的に飲み込めない
症状が5分~15分ほどあっても、24時間以内に症状が消えることを「一過性脳虚血発作」と言います。見逃されがちですが、これは脳卒中の前触れ発作であり、早めに受診して、検査を受けることをおすすめします。 - 60歳以上である
- 高血圧である
- 脂質異常症である
- 糖尿病である
- 脈が乱れることがよくある
- 太っている
- お酒をたくさん飲む
- たばこを吸う
- 運動不足である
- ストレスがたまっている
- ゆっくり休めない
- 完璧主義である
- 味付けの濃いものが好き
- 脂っこいものが好き
- 味見をせずに調味料をかけることが多い
- 果物を食べることが少ない
- 野菜をあまり食べない
- 家族や親戚に脳卒中にかかった人がいる
気になる方はお気軽にご相談下さい。